• 長谷川万大

「佐保姫」

最終更新: 2018年12月31日

1stアルバム「Vintage」収録


さおひめ、もしくは、さほひめと読みますが、僕は前者のほうで読んでいます。折角、3月に出すアルバムだから春の歌も書いてみよう、と。

3月と言えば人生の中でのビックイベント、卒業式がありますね。ちょうど1年前、高校を卒業しました。卒業式を迎える機会は幾度かありますが、それぞれが人生でたった1度しか刻まれないもの。卒業とともに、やぶれた恋や夢がきっとあるだろう・・・そんなちょっと切ない一幕を切り取ってみました。卒業を自分の中での区切りとして相手の答えを待っているんだけれど、心のどこかではもう覚悟を決めている。覚悟を決めた、と自身に思い込ませている、というのに近い気もします。いつまでも引きずるまいと、無理にでも忘れようとしている。強いけれど、とても脆いんだろうな、と作った本人が言うのも何ですが。

“佐保姫”とは、春を司る女神様、歌の中に度々出てくる春の神様のこと。

覚悟を決めていても結局、最後は神頼みするんです。やっぱり忘れられないんでしょうね。多感な時期の恋なんて、そう簡単には消せないはずです。まだワタシもギリギリ若い(はず)なので、気持ちがわからないでもないですが。

神様のせいにしてしまえば、きっと思い出を汚さずに済むからかも知れません。そこが人間の弱い部分でもあるのでしょう。

神様なんて信じない、などと言っている人に限って、どうしようもない時ついついすがってしまうのではないでしょうか。

しかしこの歌、どうやら僕の作品の中では有難いことに人気No.1の楽曲となっているようです。女性からの支持が圧倒的なのですが、やはりこの歌の主人公と自分とを重ねてくださっているのでしょうか。聞き手なりの色々な歌の楽しみ方をしてくださっているというのは、作り手・歌い手にとっては何よりも嬉しいことであります。


「佐保姫」

作詞・作曲・編曲 長谷川万大


低い雲を広げた帰り道 そこまで春は来てるというのに

空の色もあなたも 顔色ひとつ変えないで

卒業式の前に少しだけ 会った時のいつものあの微笑み

わずかな希望だけれど 信じてみたかった

春に別れが多いのは 風のいたずらですか

それとも冬につかれた 神様の気まぐれですか


歳を重ねてゆけば誰にでもきっと なつかしく想うひとがいる

もしそれがあなたなら 今日までの私は何?

夢中になった時に 唇をかんだ横顔がとても好きだった

私にだけの姿と 思い込んでしまってた

胸をしめつける魔法が 解けるのはそうきっと

あなたに忘れられる時 花弁が散ってゆく時


“いつかどこかで”の約束 あてのない口約束

せめてさよならの代わりに 守り切れない約束を


こんなにもあたたかく 何よりも綺麗な花が咲く季節なのに

それと引き換えのように 悲しい季節なのね

春の神様がもしいるのなら どうか私の中からあなたを

消していってください 心がかるくなるから

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