「はるかなる旅」

更新日:2018年12月31日

2ndアルバム「ポートレイト」収録


この曲がなければ、もしかしたらアルバム制作までたどり着けなかったかもしれない。

2015年6月のこと。その日はゆっくりの朝で、10時ごろに目覚めて携帯を見ると、一通のメールが入っていた。

入学前からお世話になっている先生からで、《大学のイメージソングを作ってみませんか》という内容だった。嬉しくて、当然、やらせていただきます、と即答。自由に作ってもらって大丈夫です、と返ってきた。

そして、これから色んな場面で使っていきたいです、と続けられていた。

つまりは、ずっと残るということ。

重大任務である。大学のイメージソングなのだから、この歌を耳にするのは主に同世代だろう。それに、これからずっと使っていただけるということは、時代の中で色褪せない=スタンダードと呼ばれるものを作らなければならない。

はてさて、どうしよう。

まずはテーマを決めよう。いつの時代でも変わらず人の心にあるものって何だろう。

あ、悩みだ。

でもイメージソングで悩みの歌なんて暗すぎる。どういうイメージの学校なんだって思われるなこりゃ。

それならば、逆境の中にいても這い上がる力がみなぎるような、向い風をも希望に変えられるような歌にしようと考えて、サビのこの詞にたどり着いた。

〽向い風なら涙もかわく また歩き出せる

なやみの種は 蒔いてしまえば きっと花は咲く

よく、後ろを向くな、とか、ちゃんと前を見つめろ! なんて言うけれど、後ろ前なんて誰が決めたんだい? と、この歌でもってワタシは世に問うた。自分が見つめる方向がいつも前なのであって、何を基準にあんたは前だの後ろだのぬかしてるのかい? とね。

みんなそれぞれ目指しているものが違うから、見える景色や進む方向が違うのは当たり前だ。だからこそ、その道中で同じ目的や価値観を持った誰かと偶然出会い、運命を感じて意気投合することがある。同じ道を行く者同士でなくても、すれ違う中で些細なやり取りからぬくもりが生まれたり、助け合うことだってあるだろう。

オレが見ているほうが前なんだ! なんて言い出すヤツがいたらとっちめてやりたい。傲慢な大バカ野郎と。

後ろ向きに歩くのならば、それは後退と言える。後ずさりだ。だが、方向を変えてまた歩き出すのなら、それは前進である。それに行けるのは前と後ろばかりではない。右でも左でも、上にだって行けるのだ。

そんな都合の良いように言っているけど結局それは逃げじゃないか、と言う人もたまにある。ホホホホホ。逃げるということは、留まらないということ。動かないと、逃げられない。だからそんな時は避(よ)けるって言えばいいじゃない。

屁理屈? 物は言いよう。気持ちの持ち方次第である。そんなに後ろに下がりたいのなら勝手にどっか行ってしまえばいい。

気が付けば原稿の大半をこの話につぎ込んでしまったが、ボクが言いたいことはだいたい言えたからヨシである。あんなに短いフレーズの中にこれだけの想いを込めている。まァ、全部が全部こんな感じで入魂しているワケではないのでご安心を。もしそうだとしたらお聴きになる方にとっても一つひとつが重くて抱えきれないでしょうから。

それぞれに感じたことを、都合の良いように解釈していただければそれでいいのです。書き手の想いなんてのは、あってないようなものですから。

そして先生からメールが来て1年が経とうとした頃、この「はるかなる旅」がようやく完成した。

遅すぎだ。


「はるかなる旅」

作詞・作曲・編曲 長谷川万大


国道線沿い見上げる あの青を手にしてみたくて

長い旅に出るのなら 重いぬけがらは捨てていかなきゃ

心熱くかきたてる 一度きりの季節で

はるかなる旅 道なき道を 心の果てまで

なやみの種は蒔いてしまえば きっと花は咲く


きのう見た夢のつづき 描き出せるのは形のない明日

地球儀みたいな街で 両手をひろげて風を目で追った

何度でも生まれ変わる 見つめる先は前だけ

向い風なら 涙もかわく また歩き出せる

なやみの種は蒔いてしまえば きっと花は咲く


はるかなる旅 道なき道を 心の果てまで

なやみの種は蒔いてしまえば きっと花は咲く

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