「綺譚」 3rdアルバム「綺譚」収録 綺譚(きたん)とは、美しい物語のこと。 ボクには二十二年分の人生の物語がある。もちろん、あなたにも、重ねてきた何年或いは何十年分の物語がある。 日々の営みの一つひとつは時間を重ねるごとに忘れて行ってしまうものだけれど、電車の車窓をぼんやり眺めてい...
「つづく」 3rdアルバム「綺譚」収録 二年前、ボクの通う大学のイメージソング「はるかなる旅」制作と同時に動いていた計画で、プロの映画監督とともにPR動画を撮影することになっていた。 残念ながらこの計画はオトナの事情でバラシとなってしまったのだが、この撮影の為にワンコーラスのみの挿入歌...
「嗚呼惜春」 3rdアルバム「綺譚」収録 こないだ地元に帰った時、高校時代の友人たちと呑んだ。 卒業以来の再会となった人もいたが、不思議なもので、会った途端にあの頃の続きになる。 会うまでは色々と考えるものだ。高校の頃どんな風に接していたっけ、数年ぶりに会ってどういう感じで話せばいいんだ...
「夜間飛行」 3rdアルバム「綺譚」収録 この歌にはモデルがいる。 スウェーデン出身の女優グレタ・ガルボだ。 彼女は晩年、口紅を差すのもままならず、自分の老いた姿を見たくないという思いから鏡を身近に置かない生活をしていたらしい。 三十五歳ですっぱり女優を辞め、人嫌いでメディアやインタビュ...
「夙夜」 3rdアルバム「綺譚」収録 「夙夜(しゅくや)」とは、一晩中のこと。 これに「夢寐(むび)」という言葉がくっつくと、朝から晩まで一日中想い続けています、という意味になる。 『夜間飛行』の対になる曲として書いた。 おさえきれない恋心が夜空を旅して愛慕の人のもとへ飛んで行く女性...
「ひとり芝居」 3rdアルバム「綺譚」収録 スマートフォン。 レストランでお互いにそればかりを見つめて、会話している気配のない二人組に遭遇することがある。 何が楽しいのだろうか。もはやそこに二人でいる意味などあるのだろうか。 街中でも電車でも誰かと一緒にいる時でも、誰もがずっと手のひらを見...
「桜を待たずに」 3rdアルバム「綺譚」収録 フィクションにこだわって曲を作ってきたが、稀に実体験を基に詞を書くことがある。 その代表的な作品が『桜を待たずに』である。 昨日まで普通に暮らしていた人が、今日はもうこの世にいない。 身近な人の死には何度か関わったが、こんなにも唐突な別れは初めて...
「やさしい明日」 3rdアルバム「綺譚」収録 祖母が亡くなったのは二年前。祖母がひとり暮らした家には今、ボクの家族が住んでいる。 祖母は筆まめな人で、習字の先生でもあった。 亡くなった後、遺品を整理していると、数十年も前から欠かさずつけていた家計簿、ラジオで聴いた歌の歌詞を書き写したメモ紙な...
「時の流れよ、ゆるやかであれ」 2ndアルバム「ポートレイト」収録 実はこの歌、長谷川作品の中では二番目にはやい、一分半で出来た歌なのだ。 大学二年の夏休み。八月に入って間もなく二十歳を迎え、その節目のライブで発表する新曲を考えていた。長期の休みになると、イベント出演の関係で宮崎と福岡を往復しながら過ごす...
「はるかなる旅」 2ndアルバム「ポートレイト」収録 この曲がなければ、もしかしたらアルバム制作までたどり着けなかったかもしれない。 2015年6月のこと。その日はゆっくりの朝で、10時ごろに目覚めて携帯を見ると、一通のメールが入っていた。 入学前からお世話になっている先生からで、《大学のイ...